院長日記

採卵で何個採れると良い?

不妊治療の病院やネットのコミュニティサイトなどで、体外受精を行った方が「採卵で○○個採れた!」という内容を目にすることもあると思います。先日お越しの利用者さんもそれを見て、ご自身と比較して自分はこんなに採れていないと不安を話してくれました。
たくさん採れた方が良いように感じるかもしれません。でも、そもそも病院によって方針も違うし、たくさん摂り過ぎるのも卵巣に負担がかかっている恐れもあります。何か違う疾患があるかもしれません。卵の状態が良いかどうかもわかりません。

数が多いと何となく安心に思うかもしれませんが、どちらかと言うと、極上の卵子が一つある方が結果にはつながると思います。自然の状態なら、本来、毎月およそ1,000個の原始卵胞が目覚めて、ごく一部が数か月かけて目に見える大きさ(20㎜程度)まで成長します。最終的に1~数個の卵胞が残り、その中から1つの卵子が排卵されます。(参考:東邦大学医療センターのサイト
つまり、自然の状態なら数個の卵胞が毎月育つことになりますので、数個採れていたら全く問題ありません。むしろ、個人的には薬で大きな負担をかけない方が良いと思っているので、2~3個くらいでも採れたら十分なようにも思います。

そういった情報って、実際、一人で見てしまうと「自分はそんなに採れていない」と不安になって、普通はどれくらい採れるものなのか?など、さらに情報を求めてスマホから離れられなくなってしまいます。そして、いろんな情報があって、結局答えが出なくて不安が増してしまいます。自分で答えが出せたとしても、自信がなくて安心するところまでは至りません。
今回の場合、そこまで積極的に刺激しないクリニックのため、たくさん採れる方が珍しい(むしろ、何十個も採れて大丈夫なのか?)という状況だったので、「順調だよ」とアドバイスできます。地域特有の正しい情報も必要です。
不特定多数には話せない、ネットには載せられないこともあります。大人の事情であったり、100%ではなく80%の情報であったり、他者を否定するような内容であったり…。自分の今の状態・条件にあわせることが大事で、そもそも他人と比較しても仕方ありません。自分の中でのベストを尽くせるようになりたいです!

鈴木 清文

鈴木 清文

静岡県浜松市出身。 浜松西高理数科卒業後、大学進学、就職と、流れに任せて時間だけが経つ。生きがいを見つけられず、自分らしい生き方を考え退職。柔道整復師資格を取得後、接骨院を開院。同時に自身夫婦の不妊に対し、何ができるか考え始める。 現在、不妊に悩む夫婦のためにできることを様々な角度から考え、「クリニックで行わないアプローチをなんでも取り入れよう」と日々考察中。患者さんと病院の架け橋役を目指し、これまで200件以上の夫婦に笑顔をお届け。日本生殖医学会会員。 好きな言葉 <夢・生きがい・妄想・まずやってみよう!>

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