院長日記

やりきることで前へ進むことができる

先日、元テニスプレイヤーの杉山愛さんが、テレビで不妊治療の経過を特集されていたのを見ましたか?日テレ系「深いい話」だったと思います。一般的に、タイミング療法、人工授精、体外受精とステップアップしていくこと。不妊治療を受ければ妊娠できると思っていたこと。何度も諦めようと思っていたことなど、夫婦の話が赤裸々に話されていました。
私は「妊活中の方たちは、みんなそうだよね」と思って見ていました。決して珍しいことを話していたわけではありませんでした。すべて妊活中によくあることでした。

妊活中の方たちはそう思うかもしれませんが、まだ比較的若い方や本格的に動き出していない人たちにとっては「自分はまだそこまでは…」「自分はきっとそうじゃない」と思っている人もいると思います。でも、そうじゃないんですよね。実際妊活に苦労している人たちはみんなそう思って来ています。でも現実はなかなか上手くいかない。
不妊治療を開始している方でも、現在はタイミング療法だけど、最悪の場合でも体外受精まで行えば大丈夫だろうと思っている人もいると思います。体外受精が最後の砦のように考えている方もいますが、でもそうじゃないんです。確かに妊娠する確率は上がると思いますが、”絶対できる”わけではありません。何度やってもダメだった。採卵できない、できても受精しない、受精しても胚盤胞までいかない、移植しても着床できない、着床しても育たない、流産してしまう。どこかの段階でつまずいてしまい、みんな苦労しているんです。

杉山さんは元トップアスリートです。精神力は並外れていると思います。それでも途中、諦めかけてしまうとのことでした。そんなときの母の一言「何で最後までやってみないの?」やれることは全て行い、最大限の努力をする。やりきることで前へ進むことができる。それは現役時代と同じ言葉だった。そんなニュアンスの話でした。
努力の結果として、杉山さんは現在45歳で妊娠中とのことです。すごいですよね。

40代など、年齢を重ねることで妊娠が徐々に難しくなることは皆さん承知のことだと思います。”卵子の老化”が大きな原因だと思っているかもしれませんが、老化は卵子だけではありません。体全体が確実に老化していきます。私も確実に老化しています。悲しいです。

でも、それだけじゃないなと最近感じます。特に仕事している人たちは、完全に「仕事中心の生活」になっている方が多いです。仕事が忙しくて遅れる、仕事が急に入ってキャンセル、ということが非常に多いです。
歳を重ねることで、出世して役職がついたり、そこまでじゃなくても責任ある仕事を任されたり、後輩の面倒をみたり、仕事も忙しくなっていきます。自分の思うようにいかないことも増え、ストレスがたくさん溜まります。病院と体の周期のスケジュール調整もしないといけません。
仕方ないことですが、ストレスが溜まることも事実です。仕方ないけど、状態も悪化しがちです。頑張っているのに…もどかしいです。「仕方ない」の一言で済まさず、何か対策を考えないといけません。

あなたは今、忙しいですか?その忙しさはいつまで続きますか?年明けだから、年度末だから、来月には落ち着きます。それならまだいいかもしれません。そうでなければ今の環境を何か改善しなければ状況に変化は起きません。あっという間に時間だけが過ぎてしまいます。日々の忙しさに流されず、一度立ち止まって考えてみてください。

鈴木 清文

鈴木 清文

静岡県浜松市出身。 浜松西高理数科卒業後、大学進学、就職と、流れに任せて時間だけが経つ。生きがいを見つけられず、自分らしい生き方を考え退職。柔道整復師資格を取得後、接骨院を開院。同時に自身夫婦の不妊に対し、何ができるか考え始める。 現在、不妊に悩む夫婦のためにできることを様々な角度から考え、「クリニックで行わないアプローチをなんでも取り入れよう」と日々考察中。患者さんと病院の架け橋役を目指し、これまで200件以上の夫婦に笑顔をお届け。日本生殖医学会会員。 好きな言葉 <夢・生きがい・妄想・まずやってみよう!>

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