日本大学医学部元講師 医学博士 黒田一明先生はじめ、光線研究所研究員の先生方(佐藤仁、柿沼規之、市川博之、上原正行)が、「日本療術学会雑誌 第31巻第1号 2019年11月10日・11日」に「不妊症に対する光線療法の有用性の調査研究」を発表されています。全部で12ページありますので、概要を次にまとめます。

Ⅰ.はじめに

不妊の背景などが語られています

Ⅱ.調査研究の目的

光線療法は、これまで多くの不妊症の患者の受胎、妊娠継続、出産に寄与するとともに、安産、産後の良好な体調回復にもつながることが示されてきた。今回の研究では、光線療法開始から出産までの期間、出産時の年齢、出産月による出産時の体重の違い、不妊の原因と考えられる疾患の有無、体外受精や帝王切開の有無など、光線療法が妊娠、出産児に与える影響について調査し、光線療法の有用性について調査した。
なお、光線治療器は(株)コウケントー社製を使用した(医療器機分類:管理医療機器クラスⅡ、医療器機承認番号14800ZZ00510000)。

Ⅲ.調査方法

診療所を受診した出産経験のない不妊症患者で無事妊娠・出産した50例を対象とし検討した。
20代5人、30代37人、40代8人。足裏部など身体各所の表面温度、加速度脈波からみた血行状態、収縮期血圧、拡張期血圧などを測定した。
データ解析において各数値は平均値±標準偏差で表示し、統計処理はt-検定、Kruskal-Wallis検定、Mann-WhitneyのU検定を用い、P値<0.05を有意な差とした。

Ⅳ.調査結果

表1 患者の背景

※表2、表3、表4、図1、図2、図3とあるが、これらのデータを統計、見やすくまとめたものであり、ここでは省略いたします

なお、光線治療による足裏温、加速度脈波から見た血行状態、収縮期血圧、拡張期血圧の変化について。
足裏温は、光線治療により治療前28.9±0.3℃から、治療後32.8±0.1℃に有意に上昇(p<0.001)
血行状態の得点は、+9.4±2.8から、+35±2.6に有意に上昇(p<0.001)
収縮期血圧は、治療前105.1±1.5mmHgから、治療後106.9±1.2mmHg
拡張期血圧は、治療前62.6±1.3mmHgから、治療後63.0±1.2mmHgと両者とも有意な変化はなかった。

Ⅴ.考察

今回の研究から、不妊症患者に対する光線療法の治療では、約半数の患者が2年以内に妊娠、出産し、残りの患者は遅くとも光線治療開始5年以内に出産できたことが示された。
(途中省略)
光線治療は、子宮内膜症など種々の不妊原因があっても、その疾患を改善して妊娠、出産に至ることが可能であった。とくに、体外受精を頻回に受けても妊娠できなかった例においても光線治療を併用することで妊娠の継続が可能になり、出産に至るまで順調に経過することが認められたことは不妊症患者にとって大きな朗報と思われる。
(途中省略)
(光線療法とビタミンD産生、子宮内膜症、子宮筋腫、ホルモン、免疫などへの影響について、参考文献などの報告とともに紹介されている)
(出産月と体重との関係も考察され、ビタミンD欠乏が胎児に与える影響、男性のビタミンD不足の影響なども、参考文献などの報告とともに紹介)
不妊症患者は、冷え症の例が多くみられるが、光線治療は低い足裏温を29.3℃から32.7℃に有意に上昇させ、体を温かい状態に保つことが可能であった。体温の上昇とともに、加速度脈波からみた血行状態の得点は、+10から+36に有意に上昇した。どのような疾患でも、症状の改善、治癒には冷えや決行の改善が重要であり、不妊症においても冷えや血行の改善は、受胎、妊娠継続、出産の経過全体に関与し、安産、出生児の成長に好影響を及ぼすことになる。
光線療法の光線に含まれる可視線、近赤外線は、からだの真核細胞に存在する細胞機関であるミトコンドリアに作用してエネルギー産生を高め、血中の酸素濃度を増加させ、血行改善とともに子宮内膜症や妊娠を障害する疾患を改善させて、妊孕性を高め、妊娠を可能にすると考えられる。
2013年の日本の学会報告では、不妊症患者を軽度高気圧高酸素濃度の酸素カプセルに入れて溶解型酸素を増加させると、妊娠率が上昇することが報告され、不妊症の原因として女性生殖器系での酸素供給不全も考えられることが示唆されている(文献12)。著者の光線療法でも同じ結果であり、不妊症における光線療法は、その連続スペクトルの多彩な作用が総合的に寄与して、体外受精を成功させるとともに、妊娠を阻害する疾患、病態を改善して受胎、妊娠継続、出産と、順調な経過を期待することができる有用な療法であることが示された。

Ⅵ.結論

体外受精などの生殖補助医療を繰り返しても妊娠の継続ができない不妊症患者は多くみられる。出産に対する肉体的、精神的な負担が大きい不妊症患者にとって、可視総合光線療法は、連続スペクトルが持つ多彩な作用、効果によって、妊娠、出産が期待できる有用な療法であることが示唆された。可視総合光線療法は、妊娠前から出産後まで続けることが重要であるが、春、夏に出産予定の妊婦では、妊娠初期、中期にはとくに本光線治療をしっかり定期的に継続することが重要と考えられる。

以下、引用文献の紹介へと続き、終わりとなります。

Reset鈴木の感想として

Resetでも概ね同じような結果が出ていると思います。50名のデータは、みなさんにも参考になると思います。不妊の原因となる疾患をお持ちの方でも妊娠しています。本来、原因となる疾患が無い人の方が、体の状態は良いはずです。

何も診断を受けていないAさんよりも、注意のイエローゾーンにいるBさんの方が、熱心に自分の体と向き合い、健康ゾーンを目指すことがよくあります。Aさんは「原因が無いのになぜ?」と、原因を求めて、さまよいがちです。
何十年もかけて疲れ・ストレスを積み重ね、今の状態になっているものを、1回、2回のケアで一気に上昇させることはなかなか難しいです。Aさんのように、大きな原因が特にない人が本気で動き出したら、余程早く結果が出ると思います。ただし、妊活は健康状態だけでなく、タイミングも必要ですので、そちらの対策も必要です。

この論文の50人のデータは、「光線治療を開始してから出産までの年数」も載っています。妊娠じゃなくて、出産ですよ。年単位なのでとても大まかではありますが、妊娠までとしたら10カ月(およそ1年)マイナスして考えたらいいと思います。出産までとしている辺りがさすがだと思いました。妊娠してからも何が起こるか本当にわかりませんから。妊娠中もしっかり光線療法を受ける有用性にも触れられていました。
みなさんのご参考になれば幸いです。