3-3肝臓の働きと影響

肝臓は、私たちの体内で非常に多くの重要な機能を担っており、その働きは妊活にも深く関わっています。以下に、肝臓の主な働きと妊活への影響について詳しく解説します。

肝臓の主な働き

解毒作用

  • 体内で生成された老廃物や、食品添加物、アルコール、薬物などの有害物質を分解し、無毒化して体外へ排出する準備をします。
  • 妊活中に摂取する可能性のあるサプリメントやホルモン剤などの代謝・解毒にも関わります。肝機能が低下すると、これらの物質が体内に長く留まり、副作用が出やすくなる可能性も指摘されています。

代謝

炭水化物

血糖値の調節に関与します。

脂質

コレステロールや中性脂肪の合成・分解、胆汁の生成を行います。コレステロールは、卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)といった性ホルモンの重要な材料となります。

タンパク質

アミノ酸の合成・分解、アンモニアの尿素への変換などを行います。

胆汁の生成・分泌

脂肪の消化・吸収を助けます。脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収にも不可欠です。

ホルモンの代謝・調節

  • 肝臓は、体内で不要になったホルモンを分解し、その濃度を調節する役割を担っています。
  • エストロゲンの活性化にも関与すると言われています。
  • ストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールを再活性化させる働きもあります。コルチゾールは成熟卵子の形成にも関与するため、肝機能が低下すると、これらのホルモンの働きに影響が出る可能性があります。

栄養素の貯蔵

  • グリコーゲン(グルコースの貯蔵形)、ビタミン(A、D、B12 など)、ミネラル(鉄など)を貯蔵し、必要に応じて供給します。

肝臓の機能不全が妊活に与える影響

肝臓の機能が低下すると、上記のような働きが十分に発揮されず、妊活に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

ホルモンバランスの乱れ

  • 性ホルモンの材料であるコレステロールの合成がうまくいかなくなる可能性があります。
  • ホルモンの代謝・調節が滞り、エストロゲンなどのホルモンバランスが乱れることがあります。
  • ストレスへの抵抗力が低下し、ホルモンバランスに悪影響を与える可能性があります。

解毒機能の低下

  • 体内の有害物質や老廃物が蓄積しやすくなり、卵子や精子の質を低下させる可能性があります。
  • 薬剤の代謝が遅れ、副作用が出やすくなることがあります。

栄養不良

  • 胆汁の分泌が不足すると、脂質の消化吸収が悪くなり、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の吸収も阻害される可能性があります。
  • 栄養素の貯蔵機能が低下し、必要な時に十分な栄養素を供給できなくなることがあります。

代謝異常

  • 血糖値の調節がうまくいかなくなる可能性があります。
  • 脂質代謝異常が起こる可能性があります。

全身状態の悪化

肝機能の低下は、倦怠感、食欲不振など全身の不調につながり、妊活への意欲や体力を低下させる可能性があります。

妊活中に気をつけたい肝臓への負担

アルコールの過剰摂取

肝臓に大きな負担をかけます。妊活中は禁酒・節酒が推奨されます。

喫煙

肝臓の解毒機能を低下させる可能性があります。

高脂肪・高カロリーな食事

肝臓に負担をかけ、脂肪肝のリスクを高めます。

食品添加物の多い食事

肝臓での解毒作業を増やす可能性があります。

市販薬やサプリメントの安易な摂取

肝臓に負担をかけることがあります。服用前に医師や薬剤師に相談しましょう。

ストレス

ストレスは自律神経を介して肝機能に影響を与える可能性があります。

妊活のためにできること

バランスの取れた食事

肝臓の機能をサポートする栄養素(ビタミン B 群、良質なタンパク質、抗酸化物質など)を意識して摂取しましょう。

適度な運動

肝臓の血流を改善し、代謝を促進します。

十分な睡眠

肝臓が休息し、修復するための時間です。

ストレス管理

上手にストレスを解消しましょう。

禁酒・禁煙

肝臓への負担を減らしましょう。

定期的な健康診断

肝機能の状態を把握しましょう。

ABOUT US
鈴木 清文
静岡県浜松市出身。 浜松西高理数科卒業後、大学進学、就職と、流れに任せて時間だけが経つ。生きがいを見つけられず、自分らしい生き方を考え退職。柔道整復師資格を取得後、接骨院を開院。同時に自身夫婦の不妊に対し、何ができるか考え始める。 現在、不妊に悩む夫婦のためにできることを様々な角度から考え、「クリニックで行わないアプローチをなんでも取り入れよう」と日々考察中。患者さんと病院の架け橋役を目指し、これまで200件以上の夫婦に笑顔をお届け。日本生殖医学会会員。 好きな言葉 <夢・生きがい・妄想・まずやってみよう!>